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使用前に知っておきたい!テント・タープのお手入れ・保管方法

使用前に知っておきたい!テント・タープのお手入れ・保管方法

念願のテントを購入してからまだ一回しか使っていないのに、インナーテントに黒カビが発生してしまったり、フライシートがベタベタになったり…。誤ったお手入れ方法や保管方法が原因ですぐに使い物にならなくなってしまった!という人も少なくないのではないでしょうか?

残念ながら、どれだけ高価なテントやタープでも購入時の性能をいつまでも持続させることはできません。使用頻度にかかわらず、撥水効果や防水効果などの耐久性能は徐々に劣化していきます。ですが、正しいお手入れ・保管方法でテントやタープをより長く安心して使用することが可能になります。

テント・タープの耐水効果の仕組み

一般的なテント・タープに使用されている生地の表面には「撥水加工」という水を弾きやすい加工をしています。また、生地の裏面には「防水加工」という水を浸透させない加工をしています。

この2つの加工は似ているようで全く異なる役目を果たしており、「撥水加工」と「防水加工」の2つがあわさることによって、初めて耐水効果を発揮できます。

撥水加工とは?

生地の表面に撥水効果のある薬剤を付着させる加工方法です。

撥水剤が付着すると、撥水基と呼ばれる分子レベルの細かい突起物が生地表面に立ちます。この撥水基のおかげで、水滴がコロコロと転がりシミになりません。

ところが水分に含まれる油分や汚れなどで撥水効果が低下し、徐々に撥水基が倒れてきます。購入時はコロコロと転がっていた水滴も広がってしまいシミのようになってくるので、裏面の「防水加工」が機能していても「水が沁みている」という誤解をしてしまいます。

使用するにつれ撥水基が倒れる

防水加工とは?

水を通さないウレタンフォームやシリコンを、生地の隙間に塗りこんで水を通さないように加工することです。

素材自体が加工されているため生地の隙間からの水の侵入を完全に防ぐことも可能ですが、防水性能の材質を分厚くすることで、通気性が悪く蒸れやすくなる、生地そのものが重くなるといったデメリットもあります。

雨や水滴より小さく水蒸気の分子より大きい穴が開いた特殊フィルムによって、防水透湿効果を実現した生地もありますが高額になるため、生地面積が小さいウェアに使用されることが一般的です。

また、布地の裏に熱による圧力で加工を施し、機密性を高める加工方法によって防水効果を高める方法もあります。

長持ちさせるための4つのコツ

テント・タープを長持ちさせるため、使用後に正しいお手入れをおこない保管しておくことで、テント・タープの劣化を抑制します。

しかし、使用後のお手入れを怠ったり保管方法を誤ると、拭いても取れない黒カビが発生したり、防水加工剤が加水分解を起こし生地がベタベタになったりするなどのトラブルに繋がります。

これは、無名ブランドや安価なテント・タープだから発生するのではなく、有名ブランドや高価なテント・タープでも発生しうる現象です。そこで、長期保管後でも安心して使用できるよう、使用後の正しいお手入れ方法のポイントを4つご紹介します。

①使用後は汚れをふき取る

ぬるま湯で薄めた中性洗剤を雑巾に含ませ、固く絞ってから優しく拭いてください。生地表面を強くこすると撥水効果低下につながり、裏面を強くこすると防水コーティングの剥離につながります。

また、有機溶剤を含む汚れ落としを使用すると色落ちや変色の原因になります。どうしても落ちない頑固な汚れは、テント・タープ専門のクリーニング店に相談すると良いでしょう。

キャンプ場での撤去時は、時間に追われ掃除の余裕がなかったり、風が強く掃除がしにくい場合があります。
その場合でも、泥やホコリ・食べカス・ゴミは、柔らかいブラシなどで最低限取り除くようにしてください。家に帰ってから、庭やベランダで落としきれなかった汚れを落としましょう。

②ペグやポール・ロープなどの小物もちゃんとお手入れする

カビ・サビが発生しているペグやポールなどを、同じ収納袋に入れて一緒に保管してしまうと、テント・タープにもサビの影響を及ぼす可能性があるため、雑巾などで汚れを落としてから収納袋に入れましょう。

また、テント・タープの生地に取り付けられたグロメット(ポールを差し込む金具)部分は土汚れが溜まりやすいので、しっかり汚れを拭き取り乾燥させるようにしましょう。

③収納前に乾燥させる

耐水効果の維持はもちろん、カビが発生しないようにする上でとても重要です。暖かい晴れの日に使用していたとしても、朝露や結露で湿気を含んでいる可能性があります。グランドシートやインナーテントのフロア部分は、使用時地面と接していて乾きにくいため、テントを裏返して底面が乾きやすい状態にすることが重要です。

自在ロープや織テープなどのテント生地より厚みがある部分や、生地が重なっている部分は特に乾きにくくなります。自在ロープはほどいてから乾燥させる、織テープは一度乾いた布で拭いてから乾燥させる、などの工夫をしましょう。

人が多いキャンプ場では、風でテントが隣のサイトに飛んで行ったり、テントの金具部分が車に当たって傷ついたりとトラブルになる可能性があります。風で飛ばないようテントをペグでしっかりと固定し、長時間目を離さないようにしましょう。

④保管は高温多湿・直射日光を避ける

ポリエステル素材のテント・タープに塗りこまれているウレタンフォームは、湿気に弱い性質があります。長期間多湿の場所に保管しておくと、空気中の湿気を吸収し加水分解という現象を起こし、テントの防水加工面が白くなったりベタベタになったりします。

TC(コットン混紡)素材・コットン素材のテント・タープは加水分解が起こる可能性はありませんが、カビの影響を受けやすい材質です。どちらにしても、高温多湿を避けることがカビを防ぐことに繋がります。

また、長時間直射日光が当たると紫外線によって色素が分解され、色褪せたり変色したりします。キャンプ道具を保管する棚を室内に設け、綺麗に並べて見せる収納をおこなうのが理想です。

どうしてもガレージなど屋外で保管する必要がある場合は、テント・タープ本体と、乾燥剤や除湿剤・ファンをコンテナボックスに入れてください。
換気をおこない空気を循環させ、高温多湿の状態にならないよう対策が必要です。

使用後の正しいお手入れ方法からはそれますが、石や小石を取り除き整地してから設営する、インナーテントの下にはグランドシートを引くなど、設営時でも傷まないように配慮することもテント・タープを長持ちさせるためには重要です。

よくあるご質問

水をはじかなくなったら?

汚れをしっかり拭き取り乾燥させてから、アイロンなどで熱を加えると倒れていた撥水基が復活します。

しかし、ポリエステル製のテント・タープは高温の熱を当てると溶けてしまいますので、必ず低温の状態で当て布をして強く押さえすぎないようにしてください。撫でるようにアイロンをかけることで生地を傷めず、倒れた撥水基を立った状態に戻します。

また、ドライヤーで温風を当てることで撥水基を復活させることも可能です。ドライヤーも近距離で当てないよう注意してください。

熱処理をすることで倒れていた撥水基が復活!

上記の方法でもはじかない場合

市販の撥水剤を使用してください。撥水剤には繊維用や皮革用、フッ素系やシリコン系などさまざまな種類が存在します。アウトドアメーカーからも販売されていますので、メリット・デメリットをふまえお持ちのテント・タープにあったものをお選びください。

また撥水剤には、吸い込むと人体に危害を加える有害な物質が含まれています。取扱いには十分に注意し、取扱説明書をよく読んでから使用しましょう。

生地を塗布する方法を大きく分けると、スプレータイプ、塗るタイプ、漬けるタイプが存在します。これらのメリット、デメリットは下記をご覧ください。

メリットデメリット
スプレータイプ手が汚れにくい
ムラができにくい
風で飛散する
塗るタイプ塗りたいところだけ局所的に塗布できる少しずつ塗るので手間がかかる
漬けるタイプまんべんなく浸透できる大型の洗濯機や桶が必要なので
ファミリーテントは物理的に難しい

テントの内側がベタベタするようになったら?

テント内側がベタベタする原因は、防水加工面が空気中の湿気を吸収し加水分解という現象を引き起こすためです。加水分解が発生してしまうと自己修復は困難です。

「生地を重曹につけ、防水コーティング・シームテープをはがし、再度コーティングをする」方法もありますが、重曹で生地を傷めてしまったり、一度試みたら後戻りできなくなってしまうためおすすめできません。潔く専門のクリーニング店に相談しましょう。完全修復はできなくても、べたつきを軽減したり多少の改善余地はあります。

シームテープがはがれてしまったら?

シームテープとは、テント・タープなどの防水加工を施した製品の縫い目に貼られているテープです。シームレステープ、シーリングテープ、止水テープと呼ばれることもあります。

シームテープがはがれると水漏れの原因になります。シームテープを貼り直す場合は、貼る前に清掃・乾燥をおこないましょう。貼り直す場所にゴミや砂・糸くずがあるとすぐにはがれてしまいます。

準備が整ったらあて布をひき、低温のアイロンで貼り付けていきます。アイロンの温度設定にはご注意ください。ポリエステル製のテント・タープだけでなく、シームテープも同様に高温の熱を当てると溶けてしまいます。

また、テープだけでなく液体を塗布するシームシーラー液やチューブタイプなどがあります。テント・タープの材質によって使用できないものがありますので注意してください。

水がテント内部にしみ込んでくるようになったら?

  • 撥水効果・防水効果がともに弱くなったケース
  • 一部のシームテープがはがれ縫い目から水が伝ってきて、生地からしみ込んできていると誤認するケース

などさまざまな要因が考えられます。まずはどこから水が入ってきているのか特定しましょう。

撥水効果を高めるためには、「水をはじかなくなった場合はどうするの?」をご覧ください。防水効果が弱くなった場合でも、撥水効果を高めることで一時的に水がしみ込まないようにすることは可能です。しかしあくまで一時的な対策にとどまりますので、専門のクリーニング店に相談しましょう。

シームテープがはがれた場合は、前述の「シームテープがはがれてしまったら?」をご覧ください。

万が一カビが発生してしまったら?

テント・タープにカビが発生してしまった場合、残念ながら完全に除去することは難しくなります。また、一度発生したカビを放っておくとすぐに繁殖します。ですが、目に見えるカビを殺菌し、カビの跡を薄くすることは可能です。気付いたらなるべく早く対応するようにしましょう。

カビ汚れを落とす方法は「長持ちさせるコツ①汚れを拭き取る」で述べた対応と同じになります。ぬるま湯で薄めた中性洗剤を雑巾に含ませ、固く絞ってからカビを拭き取ります。強くこすると生地を傷めてしまいますので、優しく丁寧にカビを拭き取ってください。それでも落ちない場合は、テント・タープ専門のクリーニング店に相談すると良いでしょう。

また、カビ菌を殺菌するためには、市販のカビ除去スプレーや消毒用のエタノールを吹き付ける方法がありますが、中性洗剤以外を使用した場合、生地に施された加工が落ちたり、繊維を傷つけるリスクに加え、色落ちや移染などのリスクもあります。テントの素材などを確認した上、自己責任でおこないましょう。

ポールやペグ・金属パーツがサビてしまったら?

ポールがサビてしまった場合、テント・タープを支える重要な構造物なので見た目より強度が心配されます。メーカーに問い合わせ、アフターサポート用のポールがあるか確認しましょう。

万が一使用中サビに気付かず折れてしまったり、強風によって破損した場合は、各アウトドアメーカーから販売されているポールリペアチューブで対応することが可能です。ただしあくまで一時的な対策なので、替えのポールをメーカーから購入するのが適切でしょう。

テント・タープ生地に取り付けられたグロメットやピンなどの金属パーツは、シルバーであれば薬剤を使わず、サビ取り消しゴムや研磨シートでサビを取ることが可能です。研磨した場合は、サビが再発しないよう防サビ材で保護したほうが良いでしょう。

シルバー以外の金属パーツは研磨剤で磨く、新品のグロメットに交換するなど、何かしら妥協したり手間をかけることになります。まずは、メーカー側で準備しているサポートパーツがあるか確認すると良いでしょう。

付属のパーツもサビたパーツと一緒に保管しておくと、サビができた金属部分からサビだけが移ってできる「もらいサビ」の原因となります。サビの除去や、サビが発生したパーツの交換で対応しましょう。

VASTLANDのポールやペグなど、テント・タープ関連のアクセサリーは公式オンラインストアからご購入いただけます。買い替えをご検討の方はぜひご利用ください。

初期不良対応・製品保証について

VASTLANDのテント・タープは一部を除き、30日間の初期不良・1年間の製品保証に対応しています。

30日間初期不良対応

製品の不具合や部品不足など、製品上の問題が初期不良対応期間(30日間)中に発覚しお問い合わせいただいた場合は、製品の返品もしくは交換対応させていただきます。

1年間の製品保証

保証期間(1年間)内に製品の不具合によって故障・破損し、お問い合わせいただいた場合は、故障箇所の代替部品もしくは代替品にて対応させていただきます。

製品保証対応製品保証対象外の条件につきましては、下記ページよりご確認ください。

まとめ

テント・タープを長持ちさせるためには日々のメンテナンスがとても重要です。頻度や労力、環境によって寿命が変わります。

ご自身がおこなえる適度な範囲で、継続的にお手入れをすることはもちろん大事です。乱暴な取り扱いが知らず知らずの内にテント・タープの寿命を短くしてしまうことを最低限認識し、キャンプが終わったあと、キャンプをした想い出を振り返りながらお手入れをする楽しさを感じることもとても大切でしょう。

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